彼からスーツの上着を受け取ろうとすると避けられて自分でクローゼットに掛ける。
差し出していた手の行き場に困って咄嗟に傍にあった彼の鞄を取る。
「あ…」
鞄を持ち上げたと同時に外ポケットから一枚の白い紙が落ちてきた。
電話番号…?
「!!」
一瞬目を見開いた彼はすぐにその紙を拾ってズボンのポケットに突っ込んだ。
珍しいな…、彼が焦るなんて。
「どうかしたの?」
「…な、なんでもないよ」
「その紙は?」
「先輩の電話番号。ほら俺iphoneだから」
「そっか」
なんだか本能が深入りしちゃいけないって言っている気がして、それ以上は聞けなかった。

