「送るね」

「いいよ! 平気」

「もう暗いし、女の子1人で返すわけにはいかないよ」

「私は野山君のが心配でーす」




 小さく笑った叶愛ちゃん。




 あーあ、帰したくないな。





 あんな浮気男のところになんで戻っちゃうんだよ。





 俺のだったらいいのに。





 って、俺が叶愛ちゃんを好きみたいじゃん。





「黙って送られて」

「優しいね」

「彼氏さんに送ってもらったことないの?」

「うん、彼…忙しいから」




 それ、忙しいからじゃなくて…何か約束があったんじゃない?




 そう言いたいけど…また傷つかせたくないし…。





「じゃあ俺が初めてかな」

「そうだよー、野山君が初めて」

「あ、そろそろ野山君っての止めない?」