「…は?」
振り返っても俺よりずいぶん小さいアイツの表情なんて見えない。
「ごめん、なさい…私…全然強くなくて……。先輩、私に一度も好きって言ったことなんですよ? なのに、私はこんなに好きで…告白して付き合えて…すごく嬉しかった」
何の話をしているのか…分からない。
「先輩を好きな人はすっごく多くて…嫌がらせだって…辛いのに。先輩は私に興味なんてないような表情しかしないし…。ただ、嫌がらせを受けるためだけに先輩と付き合ってるような気がして…私ッ……」
それ以上は聴きたくなかった。
なんだ、やっぱり全部俺が悪いんだ。
無理矢理俺の口でアイツの口を塞いで止める。
「…はぁっ…」
「せんぱ…」
「好き、すげぇ好きなんだ…俺、不器用だし…どうしようもねぇんだよ。お前が嫌がらせを受けてるんなんて最近まで全然知らなかった」
ギュッと抱きしめると、力が抜けたのか俺に体重を預けてきた。
「…私も好き、です」
「知ってる」