「もうすぐ私も引退だー…」 「だな、頑張ろ」 汗を拭いたタオルを首にかけて更衣室に入って行った。 その横から親友の久保田咲(くぼた さき)が抱きついてくる。 「お疲れーぃ」 「お疲れー」 「早く帰りたいでしょ♪ 後片付けやっとくから帰っていいよー」 「悪いし、残るよ」 にやにやと笑う咲の理由は一つ。 「彼氏の待つ家に早く帰ってあげなってー♥」 そう、これ。 「…いいって」 「まぁまぁ、遠慮せずにー」 ほぼ半強制で、体育館から鞄と一緒に追い出される。 「えー…マジですか」