「俺もそろそろ帰るわ」
「ん、今日は俺家帰るな」
たまには顔出さないとね、と空汰君が言う。
「もう…ストーカーの事も収まったし、家本格的に探さなきゃね」
「もう俺んち住んでていいよ、慣れた。」
まだ病室に残っていた凍弥がぶっきら棒にそう言う。
「え、いいの?」
「叶愛と空汰がいいなら」
「じゃあ甘えよっかな」
無表情で頷く凍弥に比べて、空汰君は満面の笑みを浮かべている。
「凍弥が一緒のが安心できる! 叶愛、1人で暮らせないでしょ」
「俺もそう思う。なんか見てるこっちもヤダ」
「じゃあ、俺と叶愛が結婚するまで! 叶愛を頼みます!!」
…結婚。
いつか本当にそんな日が来るのだろうか。
実感なんて全くなくて、今も嘘のように幸せ。
こんな幸せがずっと続く気もしなくて、不思議な感覚に陥った。

