「入るわよー?」
聞き慣れた担当医の声がすると、椅子に座っていた空汰君が立ちあがって先生を迎える
。
「傷どう?」
「大丈夫です!」
「開いてもいいから行きたいって言ったんだし、自業自得よ」
その言葉に大きく頷きながら先生に傷を見てもらう。
「あ、試合どうだったの?」
「勝ちましたよ」
笑顔で空汰君が答える。
次の試合は明日。
「明日は―――「来なくていい。来ちゃダメ!!」」
私が「行きたい」って言おうと思ったら、勘付いたのか言う前に止められた。
「ちゃんと勝ってくるから! 笑顔で迎えてね?」
「はーい……ごめんね?大事な時にいないマネなんて…」
「今はマネじゃなくて彼女って言う立場に立ってればいいから」
小さく笑った空汰君は私の頭を撫でる。
「イチャつくのもいいけど、病院だしほどほどにね」
先生はそう言うと立ちあがる。
「傷はおとなしく!してれば治るからね」
そう言い残して病室をあとにした。

