「ね、そうでしょ?」
「…分かった。じゃあ救護室まで送るから、処置してもらって?」
「うん」
車いすを引かれて救護室に着くと、空汰君は小さなキスを額に落としてにっこりと笑う。
「絶対勝ってくるから、ちょっと待ってて?」
「うん」
「無理しちゃだめだよ」
「うん」
一瞬ワンピースに滲む血に悲しそうな顔をして、私の頭を軽く撫でて救護室を出て行った。
空汰君が事情を説明してくれたおかげで、口数は少なくて済みそう。
思ったより体に限界が来ていて、嫌な汗が噴き出す。
「とりあえず止血はして、病院に行きましょう。痛いでしょう…?」
救護室にいたおばさんが私をひきつれて出てきた病院に向かった。
「うわ、叶愛ちゃん。派手にやったわねぇ」
病院に戻って色々処置をしてもらい、だいぶ落ち着いたころに病室に空汰君が入ってきた。

