「…ッ」

「あ、叶愛! とりあえず病院に戻ろう?」

「空汰君、まだ試合の途中でしょ…」

「で、でも…」





 あーあ。ホントに来なければよかった。





 大和にも会ってしまったし、空汰君にも迷惑をかけている。





「1人で戻れるから…」

「何言ってんの…傷開いたんでしょ? 救急車呼ぶよ」





 空汰君は心配そうに顔色をうかがう。





 たしかに痛いし、辛いけど…。






 空汰君が試合に戻らないのは、もっと辛い。






「空汰君! 早く、戻って?」

「叶愛を置いていけないよ」

「何いってんの。空汰君、キャプテンなんだよ? 私なんかより今は部員を気にする時じゃない?」

「…」

「ほら、早く行って?」




 笑いながらどこかに行った大和になんか気付かずに、空汰君を見つめる。