―――ブブブブブブッ





 テーブルの上に置かれていたケータイが震える。






 ちらっと見えた名前はもちろん知らない人。







 会社だもん、女の人くらいいるでしょ?






 だからこの人も普通の社員さんだよね。






「…何泣いてんの」

「あ、何でもないよ」

「ふーん、面倒くさいから泣きやんで」






 目を擦って涙を止める。




「俺寝る」





 寝室に入って行った彼を追いかけられなかった。