会場からは既に熱気と歓声が聞こえてきている。 盛り上がってるなぁ…。 ゆっくりと立ちあがって、階段を登ろうとするけど…車いすを置いて行くわけにもいかない。 「叶愛?」 「………や、まと…」 なんでこの人がここに……。 「久しぶりだな」 「…うん」 今見てもこの人のどこが好きだったのか分からない。 眉間にしわを寄せて、笑顔なんて滅多に見たことなかった。 「なんでいるの…」 「別に」 「…そっか」 理由なんてどうでもいい。 ただ一生見たくない顔だった。