「先生はいないの?」
「私、既婚者よ」
「え!?」
「今年30よ~?」
「見えないー」
車の中で衝撃の事実。
25,6に見える。
「子持ちって言ったら驚く?」
「驚きます! びっくり~」
「ほら、あんまり騒ぐと傷が開くわよ」
車で20分くらいの体育館に着くと、思ったよりたくさんの人がいる。
「さ、着いたわ。ここから1人で平気かしら?」
「はい!」
「帰りは彼氏さんと帰ってらっしゃい。早めにね」
「分かりました―」
先生に車から降ろしてもらって車いすをゆっくり動かす。
少し難しい。
「あ、階段…」
体育館前にあった階段に思わず息を呑む。

