「ん…、くう…うるさい」

「うん、ちょっと待っててね」





 まだ怒ってる顧問。




 叶愛が起きたのか、あの呼び名が復活して俺の首に腕を回す。





 すっげぇ嬉しいんだけど。





 この状況じゃ素直に喜べないんだよ。





「おい、野山。その女降ろしなさい」

「はい…」




 地面に足をついて、叶愛を下ろそうとするけど、腕が絡みついていて降りない。





「と…叶愛」



 小さな声でそう言う。





 俺だけ怒られれば十分だ。




 叶愛までバレなくていいから。




「ちょ…隼人手伝って」

「…え、あ…あぁ」




 後ろにいた隼人に仕方なく頼む。