恋*詠歌

女の子はギクリと体の動きを止めた。顔は青ざめている。


少しの沈黙――。


女の子は、ヘビにでも睨まれているかのように体が固まっている。


そしてオレは、その重い沈黙を破る。



「あの……ここで何しているの?」



女の子は金縛りが解けたように、慌てて逃げようとする。



「あの!オレ別に怪しい奴じゃないから!!」


オレも慌てて叫んだ。


女の子の動きが止まる。


今だ!もう一声!



「もし何か困ってるなら手伝うよ!!」



オレは呼吸を整え、落ち着いて、ゆっくり、また声をかける。