闇の中で仙人の声が響く。
(仙人)「今は昔、この地に大理国という国が栄えておった」

スポットが当たり下手から若者登場。
(若者)「早く国王に知らさねば、蒙古の軍がそこまで来ている」

若者、上手に退場。スポットが当たり下手から国王、王女、
姫が登場。城の中。遠くに山なみが見える。
(国王)「蒙古の軍はもうそこまで来ておる」

国王、いらいらとうろつく。
徐々に明るくなる。
(王女)「姫は南へとお逃げなさい。私は王と共に戦います」

(姫)「お母様!」
(王女)「あなたの事はよく分かっています。村の若者が着いたら
ふたりですぐにお逃げなさい」

(姫)「お母様!」
(王女)「ふたりの仲の事は母である私が一番よく分かっています。
王子の北の城が落ちたらすぐさま知らせに来るようにと、
あの若者に頼んでおきました」

(姫)「お母様!」

姫、王女に泣き崩れる。
下手より若者現れる。
走りつかれて倒れそうである。

(若者)「申し上げます。蒙古軍は総攻撃をかけてきました。
王子様の守りは撃破され総崩れになってこの城へ撤退中です」
(国王)「王子は?」

(若者)「王子はご無事です。攻め来る敵と戦いながら
この城へ向かっておられます」
(国王)「蒙古は皆殺しの民と聞く」

(王女)「姫!直ちにお逃げなさい!この若者とともに南の地へ!」

若者と姫、互いに見詰め合う。
(国王)「ええい!早く行け!」
(王女)「早く行きなさい。この城は王子とともに
最後の最後まで戦い抜きます。あなたの使命は生き延びて
わが一族の子孫を残すことです。早く行きなさい」