秋から冬への物語


「私、冬菜っていうの。ほら、秋と冬。ねっ?」

「はあ…」


彼女は自分と俺を交互に指差して、嬉しそうに笑った。


……全く訳がわからない。

何なんだ、この女?



「あー、先輩?」


カズがわざとらしく肩を組んでくる。

…お前の出番だ、行け。



「こいつ、秋平って書いて『しゅうへい』って読むんすよ。まぁ、字的には確かに秋ですけど」

「そっか、秋平くんかぁ」



変わらずにこにこと微笑む彼女。


…おい

自己紹介しただけじゃねーか。