秋から冬への物語


「あの…ケガとか、ないっすか?」

仕方なく、俺から声をかける。


……つーか、
学生証早く返してほしいんだけど。



「……あき」



学生証から目を話さぬまま
その人は、ぽそりと口にした。


「ってつくんだね?名前に」

「は?」


一瞬、目が合うと
柔らかく微笑んで俺に言う。