秋から冬への物語


「おい、おま…」

「わ、わり…」


二人同時に窓の外を覗く。

二階から放り出された学生証は、ひらひらと宙を舞い


「あ…」


やがて、下を歩く女子の頭に着地した。

わ、と小さな声が耳に届く。


「す、すみません!」


カズが大声を出すと、二人組の女子が顔を上げた。

学生証をぶつけちまった人…と、その連れの人。


「今、すぐ取りに行きますんで!」


俺も声を張り上げ、カズと二人で駆け出した。