ギャル子はため息混じりに言う。
「麻子さん、今日、午後から出社するために部屋を出たみたいなんだけど、その時に足を踏み外したみたいでね。たまたまあたしいたし、心配だから念のために病院まで付き添ったの」
「………」
「まぁ、怪我って言っても、捻挫と打撲程度だったんだけど。麻子さん、あの日以来、ずっと塞ぎ込んでたみたいで。昨日会った時も、顔色悪かったし。だからもう、あたしが無理言って今日は会社休ませて」
「………」
「で、さっきアパートに戻ってきたんだけど。あたし、レポート提出しに大学に行かなきゃいけないし、その後、バイトもあるから、一緒にいてあげられないんだよ。でもひとりにしておくのは心配だし」
「わかった。あとのことは俺がどうにかするから」
榊は息を吐く。
もう決意は固まっていた。
「この前のことも含めて、色々悪かったな、ギャル子」
「別にいいよ。榊のためじゃないし」
「うん。でも、ありがとな」
「やめてよ、きもい」
ギャル子は鼻で笑ったように言い、
「あのさ、うちらはもしかしたら、ほんとは榊の表面的な部分しか知らないのかもしれない。でも、あんたが実はどんなやつだったとしても、誰もあんたを嫌いにはならないと思うよ」
「……うん」
「『スミダハイツ』には、榊が必要なんだよ。でも、それ以上に榊を必要としてるのは、麻子さんだよ。多分、麻子さんは、あんたが思ってる以上にあんたのことを好きだと思う」
榊は顔を覆う。
泣いてしまいそうだった。
「ってことで、麻子さんのことよろしくね」
電話を切り、榊は席を立った。
「社長! 帰らせてください!」
どうせクビになるかもしれないなら、今すぐ麻子のところに行きたかった。
社長は榊の勢いに驚いてのけぞったが、でも何か察したのか、「お、おう」と、うなづく。
榊は荷物を引っ手繰って、急いで会社を出た。
「麻子さん、今日、午後から出社するために部屋を出たみたいなんだけど、その時に足を踏み外したみたいでね。たまたまあたしいたし、心配だから念のために病院まで付き添ったの」
「………」
「まぁ、怪我って言っても、捻挫と打撲程度だったんだけど。麻子さん、あの日以来、ずっと塞ぎ込んでたみたいで。昨日会った時も、顔色悪かったし。だからもう、あたしが無理言って今日は会社休ませて」
「………」
「で、さっきアパートに戻ってきたんだけど。あたし、レポート提出しに大学に行かなきゃいけないし、その後、バイトもあるから、一緒にいてあげられないんだよ。でもひとりにしておくのは心配だし」
「わかった。あとのことは俺がどうにかするから」
榊は息を吐く。
もう決意は固まっていた。
「この前のことも含めて、色々悪かったな、ギャル子」
「別にいいよ。榊のためじゃないし」
「うん。でも、ありがとな」
「やめてよ、きもい」
ギャル子は鼻で笑ったように言い、
「あのさ、うちらはもしかしたら、ほんとは榊の表面的な部分しか知らないのかもしれない。でも、あんたが実はどんなやつだったとしても、誰もあんたを嫌いにはならないと思うよ」
「……うん」
「『スミダハイツ』には、榊が必要なんだよ。でも、それ以上に榊を必要としてるのは、麻子さんだよ。多分、麻子さんは、あんたが思ってる以上にあんたのことを好きだと思う」
榊は顔を覆う。
泣いてしまいそうだった。
「ってことで、麻子さんのことよろしくね」
電話を切り、榊は席を立った。
「社長! 帰らせてください!」
どうせクビになるかもしれないなら、今すぐ麻子のところに行きたかった。
社長は榊の勢いに驚いてのけぞったが、でも何か察したのか、「お、おう」と、うなづく。
榊は荷物を引っ手繰って、急いで会社を出た。


