スミダハイツ~隣人恋愛録~



朝から電話で数件のお店に取材のアポイントを取り、読者ハガキに目を通した。

読者ハガキに書かれている意見や要望をデータにまとめる。


それからさらに、写真のチェックを頼まれ、あれやこれやと同僚と意見を出し合った。



「池谷。ちょっと」


編集長に呼ばれた。

何事なのかと思う麻子をよそに、編集長はにやつきながら、



「お前、次の巻頭特集の企画案、出してみる気ないか?」

「……え?」

「だから、巻頭特集だよ、巻頭特集。6ページ、好きにしていい」

「ほ、ほほほ、ほんとですか?!」


今まで、麻子は主に、街頭スナップのページや、読者交流のページを任されていた。

それがここへきて、花形である巻頭特集だなんて。



「そろそろ、任せてもいい頃だと思ってな。もちろん、企画内容次第では、ボツになる可能性もあるが」

「やります! やらせてください!」


願ってもないチャンスだ。

麻子は目を輝かせた。



「私、頑張ります! 絶対に編集長が唸るような企画を出してみせます!」

「そうか。まぁ、期待しているぞ」

「はい!」


人の目がなければ、飛び上がっているところだ。



「やったじゃない、麻子ちゃん」


同僚も「頑張ってね」と、エールを送ってくれる。

麻子は急いで自分のデスクに戻り、パソコンを開いた。