君のメロディーを大切にします。

女に話かけた事のない流。
心の何処かで
彼女が可哀想
という気持ちになった。
杖…?
もしかしたら杖を探している?
流は目の前に転がっている杖を拾い
勇気を持って
彼女に話しかけようとした。
でも…無理だった。
流は席を立ち杖を彼女の手の近くに置いた。
彼女は手に何かを掴んだのを確認して
両手で杖かどうかを確かめた。
そして立ち上がった。
周りからは
やっと立ち上がったかぁ、、
などの声が聞こえた。
流は気づいた。
彼女が目の見えない事を…

ピーンポーン

「大変ご迷惑わくをお掛けしました。只今から発車いたします。」
「やっとかよー!」
「待ちくたびれた」
いろんな喜声が車内に広まった。
電車が揺れる。