七尾はかばんからお茶を出すと、ぐいっと一口飲んだ。

それを黙って見ている私。ぼんやりと見ている中、何を言うべきかわからない。







「友達から、お付き合いしてもらえないかなと思いまして」






七尾が何か決心したような顔でそう言った。



はい?







「宍戸先輩と話しているのを初めて見た時の、笑った顔が忘れられなくて。どこの誰かもずっとわからなくて、サークルに入ってから知ったんです。河合真咲っていう人だって。それで俺、何とか声をかけたかったんですけど、その、勇気と元気がなくて」






勇気と元気。
某アニメのヒーローのようだ。

変わった言い方だと少しだけ笑ってしまう。








「そう、そうなの」




と言えば頷くから、素直だなあと思う。