鈴木ら四人、もしくは松前も含めた五人は、名波にナイフを触らせて、証言を捏造することができた。

ということは、殺人に使われた畑野優馬の血液が付着したナイフを、持っていたのだ。


つまり、畑野優馬を殺したのは、五人のうちの、誰かだ。


こめかみから背筋まで、すうっと凍り付いたような気がした。
それから、いや、違う、と考えた。

(自殺した……丸井もいる)

まさか自分の――自分たちの犯した罪の重さに耐えかねて。


そこまで考えた時、加原は、パズルのピースが嵌まっていくのを早送りで見るように、ものすごい速度ですべての辻褄が合っていくように感じた。
背筋どころか脳味噌にまで、ぞくりと悪寒が走る。


特に理由を明記もせずに、調書に丸井の自殺を別件と書いた人物がいた。
五年前の事件を調べはじめた加原に、その件は無関係だ、余計なことは考えるなと冷たく言い放った人物がいた。

やはりさっきの車はきっと、加原の見覚えのあるセダンで間違いはなかったのだ。
何者かに襲撃され右腕に大怪我を負って、車の運転などとてもじゃないができるはずもない、彼の車で間違いはなかった。

(え……ヤスさん……、)