『部長、演劇部との撮影、決まったんですか?』


次の日、部室へ行けば部長がビデオカメラの準備をしていた。


「うん、今日皆に話すからもうちょっと待ってね」

『はい。あ、何かお手伝いします』

「あー…そうだなぁ。じゃあそこの3台のカメラ、ちゃんと電源入るか確認してもらってもいい?」

『わかりました』


側に置いてあるバッテリーを入れ、3台とも確認する。


『全部大丈夫です』

「お、ありがとう。じゃ、皆が来るまで待つか」

『はい』


待ったと言っても、数分程だった。
部長は皆が集まるや否や、椅子に座るように諭した。

「さて、皆も知っての通り…演劇部との撮影が決まった。因みに台本は“セイジャの式日”だ」

「それって、シリーズありますよね」

「そうそう、他にも“プシュケの涙”“ハイドラの告白”がある。読んだことあるのか、河崎?」

「はい、何度か」

「ほう、私以外にも読む人がいたとは!」


部長は感心した後、パンと手を叩いた。


「…で、やることはわかってるよね?カメラ・ボイスレコーダーの準備と使えるかの確認。それから担当も決めておいてね」

「「はいっ!」」


カメラ3台とボイスレコーダー2台が使用可能と判断し、それぞれの担当が決められた。

部長、琉人くん、私がカメラ担当。風香ちゃんと陸斗くんはボイスレコーダー担当となった。

編集は、部長と琉人くんがすることになっている。


「これで大体確認は終わったな…。はぁ…」

「どうしたんスか?」

「いやぁ、今から先生に報告をしなくてはと思うとため息が…」

「まだ言ってなかったんスか?」

「そーなのだよ北沢くん。どーしたもんかね」


部長は暫く唸っていたが、すぐに顔を上げた。


「仕方がない。河崎忙しそうだし…花耶、ついてきてくれる?」

『はいっ、行きます!』


私は返事をして、部長の後をついていった。