ポイズン

吸血鬼と人間。

そのせいで、正宗様を不幸にしたくない。

正宗様につらい思いをさせたくない。

わたしが人間だったらよかったのに。

血を喰う化け物に生まれてきてしまった自分を呪った。

人間に生まれてたら、迷うことなんてなかった。

迷わず、正宗様の胸に飛び込むことができる。

正宗様に自分の思いを伝えることができる。

正宗様と、共に生きることができる。

でも、できない。

できる訳がない。

だから、記憶の中から“わたし”を消して、逃げた。

 * * *