ポイズン

正宗様は、何もしなかった。

わたしを殺さない。

わたしを世間に出そうとしない。

彼は、こう言った。

“血が欲しいなら、俺のを飲めばいい”。

そう言って、彼はわたしに血を捧げた。

彼がわたしに血を捧げるのと同時に、わたしは彼に躰を捧げた。

彼の命令に逆らえなかった。

逆らうこともできなかった。

何故なら、彼を愛し始めていたから。

男として、彼を思い始めていたから。