ポイズン

「――正宗、様…?」

………はっ?

形のいい小さな紅い唇から出てきたその言葉。

文句を言われると思って覚悟していたら、彼女の唇から出てきたのはそれだった。

「用がないんだったら帰ってくれるか?」

彼女の大きな瞳が揺れる。

黒目がキレイな二重の目だった。

「――正宗様…?」

誰だよそいつ。

「人違いだ。

俺は正義、黒川正義」

それだけ言うと、ドアを閉めた。