そう答えた瞬間、ドアが勢いよく開かれた。
急に部屋に満たされた光が眩しくて目を細めた。



光の中にある人影は、多分母親だろう。
急に開けられた事を抗議しようと身体を起こした途端に肩を掴まれ、すぐさま額に手を当てられた。
所謂、熱を計る態勢。




「何すんだよ…」


「熱は…、無いわね。じゃあ、どっか悪いの? あぁ…、頭以外でね」




突然の行動にこの失礼な言動は一体何なんだろうか?
これでも、成績は上の中くらいなのに……ってそんなこたぁどーでもいい。




「別に、どこも悪くねぇーよ」



「だって…、郁弥がご飯食べないなんて滅多にないんだもの。そりゃあ、心配するでしょ?」




確かに母さんの言うことは尤もだろう。俺が飯を食わない時はインフルとか、高熱が出たときくらいだ。
だけど、それ以外の理由の時だって……




「体調が悪いんじゃなかったら……、鈴〈スズ〉ちゃんの事かしら?」



食い意地の張った奴だと思われた事が不服で不貞寝をしようとしていた俺は鈴子の名前を聞いた途端、ピクッと反応してしまった。