鏡ーあたしの消えた記憶ー




「桃!」



桃はもう柵を越えていた。



「手紙よんでくれた?」



「うん。」



「そっか。」


風がふいて桃の綺麗な髪が
なびいた。


「いなくならないでよ。」



桃は振り向かない。


「私もういきる必要ないから。
まゆのお父さんから、
まゆが記憶喪失になった
ってきいたとき、
よろこんじゃった。
そしてまたあの時のことが
なかったことにして
まゆと仲良くして。私って
最低だよね……。」



「逃げるつもり?」


「えっ?」


「桃は逃げている。
たしかに私に嘘をついていた。
傷つけた。
でも、私たちをおいて
いなくなる理由はないじゃない!」


「それはそうだけど。
まゆは私のことなんて
嫌いでしょ?」


「嫌いだよ。だいっきらい
。そうやって逃げる桃は。

だけど前むいてやり直して
くれるなら、私は
桃たちのこと許す。」