後ろを行くものが“人ではない”と気付いたその瞬間、私は走っていた。
家まではさほど遠くもないが、後ろにいる“そいつ”との距離も限りなく近いのだ。
走っても、逃げ切れる自信はない。
それでも…
走れ
走れ
逃げろ
ダメだ
捕まるな
捕まったら“終わり”だ
走り始めたとき、私は“そいつ”の正体をハッキリと分かっていた訳ではなかった。
ただ、捕まったら最後、恐ろしい何かが起こることだけは、分かっていた。
私は足が速い方ではないが、必死で逃げた。
もちろん、私が走り出すと“そいつ”も走って追いかけてくる。
だが、不思議と“そいつ”は私に追い付くことがなく、捕まりそうで捕まらない、なんとも嫌な距離だけを保ったまま、私と“そいつ”は私の家へと向かう。
あと少し、あと10メートル、……5、…4、3……
そこで私は“そいつ”に肩を掴まれ、同時に目を覚ました。

