それは、太陽が沈みきってから何時間かが経った、夜のこと。
私は道を歩いていた。
少し急な坂になっているそこは、下れば右に新築の家が3件並び、左には駐車場がある。
今はもう死んでしまったが、この夢を見た当時の私にとって、そこは愛犬の散歩コースとしてとても馴染みのある場所だった。
頼りない街灯の光のみが照らす、少し寂しい道。
そこを、家に向かって歩いている。
後ろからの気配に気付きながらも。
始めは、同じ方向に向かっている人が後ろを歩いているだけだと思っていた。
だけど、私は次第にそれが、そうではないことを察する。
否、“人ではない”ことを。