「ったく、タチの悪いイタズラしやがって。」
死んだ姉の名前を呼ぶなんて、子供にしては少し度が過ぎたいたずらだと思ったが、私は気にも止めなかった。
そしてそのまま場面が暗転し、夢の中が夜になると、またも母親の携帯が鳴り響く。
携帯が鳴っているのを母親に知らせると、昼間と同じく代わりに出てくれと言われる。
昼間の電話のことを思い出してなんとなく嫌な気がしたが、サブディスプレイに名前や電話番号が表示されないタイプの携帯のため、とりあえず携帯を開いてメインディスプレイを確認してみる。
すると、やはりと言うべきか、昼間と同じ番号だった。
登録されていない、しかし見覚えのある正体不明の数字の羅列。
嫌な予感がしたが、着信音は鳴り止む気配がない。
仕方なく出てみると、私の全身は凍り付いた。
『ねぇ○○、なんで死んじゃったの?僕が××××って言ったから死んじゃったの?』
昼間と同じ少年の声が、昼間と同じ言葉を紡ぐ。
「おい、何言ってんだ…」
震える声で問いかけても、答えは返って来ない。
まるで、テープに吹き込んだ声を再生しているかのように、昼間と全く同じセリフが、昼間と全く同じトーンで携帯の向こうから流れ続ける。