その夢の舞台は、どこかの学校。


自分の母校のようにも見えるが、しかしどこかが違う、小学校と高校が混ぜ合わさって出来たような建物の中だった。




その建物の中で私は、ある人から逃げていた。


否、逃げていたといっても、夢の序盤で私はすでに、その人に捕まっていた。


しがみつくようにガッシリと体をホールドされたまま、身動きも取れないでいる私に、あの人はあの顔とあの口調で文句を言う。



「なぁーんで逃げんのよ。」




このままではいけない。

このままでは、何かが危ない。

そう思った私は、突然何か呪文のようなものを叫んだ。

この呪文を唱えれば、ほんの少しの間だけこの人の動きを封じることができると、夢の中の私は知っていたのだ。



唱えた瞬間、あの人の体を電気が走り、一瞬怯んだあの人は私の体から手を離した。


なんとか解放された私だが、あの人が相手では呪文の効果が薄く、このままではまたすぐに捕まってしまう。


直感で判断した私は、脱兎のごとくその場を離れた。




「ちょっと何すんのよ!!あんたアタシから逃げられると思ってんの!?バカじゃないの!?」




背後でぶちギレ怒鳴るあの人を、少し遠くに感じた。

体が鈍くなっているのか、追いかけたくても走れないようだ。


取り敢えず、間一髪で助かった。

そして、廊下を走った先で階段に突き当たったところで、私は再び叫ぶ。