愛のかたまり

「ごめんなさい。慣れているはずなのに。いつもはひとりで結構平気なのよ。今は、あなたみたいな子がそばにいてくれるからつい気がゆるんじゃって」

　海さんは無理やり微笑むと、きりりとした表情になって言った。

「帰りなさい。もうここにはいられないでしょ。心配しなくても大丈夫。ミュウを愛してくれる人はこれからもたくさんいるわ。だってこんなにいい子は他にいないもの」

　悲しみの底で、海さんは明るく笑った。

　抑えきれない喪失感が漂っていると感じるのはあたしのひとりよがりだろうか。

　あたしは自分の功績を讃える。海さんの中にこんな思いをさせるほどに深く浸透できたことを。

　宙に浮いていたあたしたちは手をつなぎ、やっと地上をしっかりと踏みしめた。