カーテンが開け放されたひろいリビングには夕方の橙色の光がいっぱいに射し込んでいる。
ベランダへと続く窓を開けて外へ出ると、大きな夕陽がアプリコット色の巨大スクリーンに見えた。
見下ろすと遥か彼方に地面があり、ちいさく見えるすべてには現実味がない。
吹き抜ける風がパジャマの裾をはためかせ、その思いがけない冷たさに驚いて身を震わせる。つい数日前まではまだ夏の名残が十分にあったというのに。
貧血のような眩暈を感じ、ふらふらと室内に戻った。
部屋はエンドレスでかけられたピアノとピアノのような歌声とに満たされている。
ひどく、落ち着く。
