愛のかたまり

「ミュウ・・・・・・」

 もう一度、苦しげな声に呼ばれ振り返る。

 目と鼻の頭を真っ赤にした氷の海さんが立っていた。

 じんじん冷たい空気が取り巻いている。

 だけど子犬のようにかけよったあたしの顔を見ると、吹きだして咳き込むぐらいに笑った。

 ・・・・・・失敬な。

 かなわないなーと言って、海さんはまた笑う。

 やっと合点がいったというか納得したというか、そんな気持ちと、すべてを嘘にしてごまかしてしまうことはできないかとも感じて、あたしは相当に情けない顔をしてたと思う。