或る、早い早い朝。
海さんはちょうど仕事から帰ったばかりで、あたしはリビングのソファで深夜映画のラストシーンをぼんやりと観ていた。
エンドロールが流れはじめて、玄関のチャイムが鳴った。
海さんは一瞬でひどく緊張した顔になり、走るように玄関へと向かった。
リビングのドアの透き間からのぞくと、玄関にはひとりの女がゆらりと立っていた。
ひどく酔っているらしく、立っていられないほどの状態で玄関ドアに寄りかかっている。
虚ろな、底のない暗い瞳。
怖い顔。
怖くて、悲しい顔。
全身から恨みや悲しみや憎しみや、ありとあらゆるマイナス感情を発散させている。
すべてを否定するような彼女の存在が、今まで世界にふたりきり的なあまい幸福感に満ちていた部屋の温度を一気に下げた。
海さんはちょうど仕事から帰ったばかりで、あたしはリビングのソファで深夜映画のラストシーンをぼんやりと観ていた。
エンドロールが流れはじめて、玄関のチャイムが鳴った。
海さんは一瞬でひどく緊張した顔になり、走るように玄関へと向かった。
リビングのドアの透き間からのぞくと、玄関にはひとりの女がゆらりと立っていた。
ひどく酔っているらしく、立っていられないほどの状態で玄関ドアに寄りかかっている。
虚ろな、底のない暗い瞳。
怖い顔。
怖くて、悲しい顔。
全身から恨みや悲しみや憎しみや、ありとあらゆるマイナス感情を発散させている。
すべてを否定するような彼女の存在が、今まで世界にふたりきり的なあまい幸福感に満ちていた部屋の温度を一気に下げた。
