愛のかたまり

　にこにこしながら、くすくす笑いながら、そういえばちーちゃんはずいぶんと幸せそうに話してくれた。

　いつも、春になっても夏がきても、どこかずっと冬そのものみたいな冷たい空気を纏った人だったけれど、そういう時は少しだけあたたかな表情をしていた気がする。

　ちーちゃんは幼い頃少なくとも父親からは十分に愛されていた、医者の愛人になったのではなく普通に彼と恋におちた、んだと思う。

「ちょびっとは、幸せだったかも」あたしは言った。

「そう。言葉通りではなかったかもしれないし、心が弱りきっていたのは事実だけど。きっと、自分でも何が起こったのかわからなかったんじゃないかしら。ああいうことは流れができてしまったらあっという間なのよ。とめようと思ってとめられるものじゃない。でも最後にあなたと話せて、やっぱり彼女は幸せだった気がする」

　また、涙がどんどんこぼれる。

　信じられない、魔法みたいだ。あたしはやっと「泣ける場所」を見つけたんだ。