愛のかたまり

 何も考えたくないあたしに、情報はばかみたいに次々ともたらされた。

 はっきり遺書と呼べるようなものは残されていなかったが、ごめんなさいとだけ書かれた紙が机の上にぽつんとあったということ。

 彼女はあたしのおじいちゃんの愛人の子で、その愛人さんが早くに亡くなってしまったために、ママの実家に引き取られて育ったこと。

 当然のように、家族からは疎まれていたこと。

 今は、以前かるいストレス性の疾患のために通っていた病院の医師の愛人になって、あの部屋を与えられて働かないで暮らしていたこと。

 遊び友達はたくさんいたが、悩みを相談するような相手はもっていなかったみたいだということ。

 そして、あの夜あたしに電話した直後くらいに自ら命を絶ったのだろうということ。