愛のかたまり

 あたしは、勿論会っていた。
 
 あの後、図書館で声をかけられて話をした。話せば話すほど、彼女は魅力的で引き込まれた。そうして、ママには内緒で度々彼女と会うようになるのに時間はかからなかった。

 オバサンと呼ぶにはあまりに若くかわいらしいその人を、あたしはちいさいおばちゃん、ちーちゃんと呼んでいた。

 海さんほど大人ではなく、時々困ってしまうぐらい子どもっぽいこともあった。

 お酒が大好きで、涙もろくて、少し自分勝手で。

 自由奔放に生きる彼女には冷たさとあたたかさが同居していて、感動も怒りも嬉しさも、すべては率直に伝えられる。多くの敵と本当の味方を持つタイプの人だ。

 あたしがちーちゃんのマンションを訪れる回数は次第に増え、夏前にはほとんど毎日をそこで過ごすようになっていた。

 だって。

 だって彼女といる時だけ、あたしは笑顔の仮面をはずすことができた。