「よかったわぁ、本当に。最初は死んでるのかと思ったんだからぁ」
「・・・・・・?」
「今朝ね、お仕事が終わって帰ろうとしたら、お店のかげでちいさな女の子がうずくまってるじゃなぁい? もう、びっくりしちゃって」
彼女は胸の前で手を合わせ、くすくすと嬉しそうに思い出し笑いしながら言った。
「・・・・・・」
あたしはまだ事態が把握できないまま、彼女の挙措動作ひとつひとつの優雅な美しさに、ほけっと見とれていた。それは、まるで女性というものの理想型。
「それでね、とりあえず酔い潰れてるだけみたいだったし、一緒にタクシー乗って連れて帰って来ちゃったのよねー。でもそれからずーっとあなた、死んだみたいに眠って全然起きないんだものー。ちょっと心配になってきたとこだったの」
「・・・・・・」
