愛のかたまり

 どうしたの、というように海さんが頬に触れる。骨ばった手の感触が心地よくすべてを保証する。この宇宙にあたしの縋るべき手はこの手しかないというような気がした。

 守られていることの安心感が、臆病なあたしに勇気を与えた。

 話そう。

 すべて話そう。

 これは必然だ。

 凍結したままの心はいつか解凍しなくちゃならない。氷を抱えたままずっと生きてはいかれない。

 すでに鍵は開かれたものの、重く冷たい扉は錆びついたまままだ閉ざしていた。

 焦って開けようともがくちいさな背中を、海さんは励ますようとんとんとやわらかくたたいた。

 もう一度大きく息を吐くと、あたしは話しはじめた。