愛のかたまり

 ベッドに倒れこむと、弾みながらもあの包みこむ感触で迎え入れられる。

 室内は急速に色を失い、すべてが闇へと溶けてゆく。カーテンもシーツも布団もベッドも、あたし自身も。

 耳元では変わらず水音が穏やかに繰り返し、身体をまるめるとひどく安定した。

 目を閉じる。お腹の底があたたかい。とても眠い。

 昔何かでこんな感じ、読んだ気がする。

 熊の親子のうちに迷い込んでしまった女の子が子どもの分のスープを飲んでおなかいっぱいになってベッドで眠り込んでしまったっけ。

 そんなことをぼんやり考えながら、あたしは久しぶりに安心しきった眠りにおちた。

 死んだ魚たちが蒼の底深く、沈んでいった。