愛のかたまり

 昔からそうだった。

 何もかもを十分過ぎるほど与えられるのに、いつも本当に欲しいものだけが手に入らない。

 冷たい水の中をひらひらと魚たちは泳ぐ。彼らを閉じ込めた水槽は動く絵画のように美しい。だけど、それだけだ。

 まるであたしの家そのものだ。

 無機質な淋しい空間にすべてが完璧であるように配置され、整然と美しいのになんだかうそ寒く、すべてを受け入れ、同時に何ものをも拒絶する。