あたしには大切なひとがいる。

 そのひとは、あたしを何より愛してると言ってくれた。あたしが必要だと言った。こんなちっぽけなあたしを、強いと言った。

 あたしは、強くなりたい。

 今日も朝から降りしきる雨に視界は塞がれている。

 雨音はいつもやさしい。

 弱気なあたしを励ます。

 こんなに近いのに果てしなく遠いあなたを、あたしはただ待ち続けるしかない。影の占める日々の中で、ちいさな光をひとつひとつ集めて繋ぎ、いつか夜明けが訪れますようにと強く祈る。

 その声で、その手で、あたしの未来を確定してよ。

 早く、あたしたちの家へ帰ろう。