ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……

体を洗いながら、浴室の大きな鏡に映った自分の姿を眺めた。


前髪を長めに残したグラデーションボブのショートヘア。

貧弱な胸元、細い丸みのない体。

スキニージーンズだと細くなりすぎる脚。


およそ「女らしい」などという単語とはほど遠いあたし。

実際、いつもパンツルックなこともあって、男の子に間違えられることも少なくなかった。

私服の高校だから、学校へ行くのもいつもジーンズ。


周りは細すぎる、不健康、醜い、などと言うけれど。

あたしは、この自分の体型が好きだった。

とってもあたしらしい。そう思う。

グラマーになった自分なんて、とてもじゃないけど想像できない。


(まぁ少なくとも、おじさんが食いつくようなカラダじゃないよね)


鏡の中あたしが苦笑した。