ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……

「あ、でもそれ、ものすごい時間かかってるんです。

授業だけじゃなくて、家に持ち帰って土日も朝から晩まで描いて、もうママから怒られたくらい」

「……うん。

これだけ描き込むのは相当時間かかっただろうね。

いや実際、よくここまで描いたもんだよ。

君の場合、受験の実技はそこがネックだね、時間が。

3時間で君の良さを出し切らないといけない。

……大丈夫、練習を重ねるとそのうち慣れるからね」


軽くうなずいて微笑むと。


「じゃ、今日もデッサンからやろうか」

「はい」


あたしの背中にそっと手を当てて、やさしく椅子までいざなう。

たった2mほどの距離だったけど。

そのエスコートが、どこか必要以上に愛情のある仕草なような気がして、あたしは何だかどぎまぎした。



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