ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……

なかなか来ないと思ったら、案の定2台続けてやってくるバスにちょっと腹を立てる。


2台めの少し空いたバスに乗り込むと、一番後ろに座ってたオジサンと目が合った。

気のせいか、あたしを見てニヤッとした気がする。

いやな想像が頭をよぎった。


(もしかして、この人とも?……)


まさかね。


(……)


なんだか、バスの乗客みんなが、あたしをじろじろ見てるような気がする。

世界の居心地が、急に悪くなった気分。


(やだな……)


あたしは、一番前の席にちんまりと腰掛けた。

乗客みんなに背を向けて。