ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……

持ってきた絵をこわごわ差し出す。

食事の席でたくさん絵を見せるのも何なので、一番コンパクトなものを2枚だけ持ってきたんだった。

油絵と、デッサンと。


「油彩が得意?」

「……どちらかというと水彩が好きなんですけど……

高校だと油絵ばかりなので、水彩を描いていなくて」

「ああ、そうかもしれないね」


黒川さんはじっと値踏みするように絵を眺めた。

あたしは何だか落ち着かない。


すると、黒川さんは不意に目を細めてにっこり微笑んだ。


(――あ)


儀礼的でない何かが初めて、仮面の隙間から覗いたように思った。


「丁寧に仕上げてあるね。構図も悪くない。

素直な、いい絵だね。