まだ薫さんがここにいることが信じられない。
ほんと、夢みたい。
「薫さん、どうして黙ってどこかへ行っちゃったの?」
わかってはいても、悪態をつかずにはいられなかった。
「……だって、君は……」
困ったように眉を八の字にして言葉を切る薫さんに、何だかおかしくなって微笑んだ。
「……うん。わかってる。……ごめんなさい」
あのとき智弘さんの腕を振りほどかなかったのは、あたしだから。
あたしは小さくため息をつくと、うなずいた。
「……ねぇ、薫さん。どうしてここに?」
「……兄貴が急に電話してきて、ちょっと用事があるからここで待ってろって」
「……うそ」
(智弘さん!)
マンションを振り返ると。
遠目に、大きな窓から遠ざかる智弘さんのすらりとした後ろ姿が見えた気がした。
ほんと、夢みたい。
「薫さん、どうして黙ってどこかへ行っちゃったの?」
わかってはいても、悪態をつかずにはいられなかった。
「……だって、君は……」
困ったように眉を八の字にして言葉を切る薫さんに、何だかおかしくなって微笑んだ。
「……うん。わかってる。……ごめんなさい」
あのとき智弘さんの腕を振りほどかなかったのは、あたしだから。
あたしは小さくため息をつくと、うなずいた。
「……ねぇ、薫さん。どうしてここに?」
「……兄貴が急に電話してきて、ちょっと用事があるからここで待ってろって」
「……うそ」
(智弘さん!)
マンションを振り返ると。
遠目に、大きな窓から遠ざかる智弘さんのすらりとした後ろ姿が見えた気がした。


