ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……

「……ねぇ、前から思ってたんだけど……

そこに何かモノを置くと、落ちるシステムなの?」


そうふざけて言ったあたしの声は、後半は完全に涙声になってた。

どうしよう、涙で前が全然見えない。


「薫さん!」


次の瞬間、あたしはまっすぐに薫さんの胸に飛び込んでいた。

薫さんの手が、ためらうようにおずおずとあたしの背中に回される。


「薫さん、会いたかった――ずっと」

「柚希ちゃん……」


薫さんにぎゅっと抱きついたまま、顔を少し離して、もう一度薫さんの顔を確かめた。

ちゃんと確認しないと、幻のように消えてしまうような気がして。


(幻なんかじゃない。

正真正銘の、生身の、薫さんだ――)


まだ戸惑ったように、形のよい眉をちょっとハの字にして。

薄茶色のきれいな目はじっとあたしに注がれていた。


――うそみたい。